南牧で働く@とらのこぱん

【なんもくジョブシリーズ#3】

※南牧村に移住を検討されている方から、南牧村って働ける場所はあるの?南牧の人は何をして働いているの?とよく聞かれます。実は南牧村には人手を募集している会社・団体はいくつもあるんです。これから南牧で働き手を募集している会社を紹介していくので、ぜひご覧ください!

深夜2:45。凍てつく冬の深夜に檜沢(ひさわ)地区のとらのこぱんの窯を訪ねた。

薄手の半袖にタオルで鼻までしっかり覆ったKさんが、釜の火入れを始めた。薪の置き具合と風の通り方により火の付き具合は変わるため、素早く、でも慎重に薪をくべていく。薪は村内で調達した木材。薪に火がついたところで隣の厨房へ移動。釜が温まるまで約2時間、パンの材料の計量・成型など仕込みを行う。釜の中の薪の爆ぜる音に注意しながらの作業だ。

まずは粉類を計量。小麦、塩、イースト、キビ砂糖を量り終えたら、牛乳とバター、ぬるま湯を用意する。ぬるま湯は季節によって温度を調節する必要がある。釜は大きくはないので一度に焼ける個数は限られている。まずは1回分の材料を軽く混ぜ、機械にセットしパンをこねる。「生地をこねる」「発酵させる」「成型する」「焼く」といった各工程の時間配分を調整しながら並行して行う。当日の気温によって発酵時間の調節も必要で、釜の温度と時間の配分を臨機応変に対応させるのが難しい。

Rさんが成型を終え、切り込みを入れたものをKさんが素早く釜へ入れる。2人体制でパンの仕込みと焼きを同時に行う。普段から他のメンバーも手伝ってくれるが、今日働く2人は南牧出身の同級生同士。息の合った連携プレーをみせる。

朝8時半。焼きあがったパンを袋詰めし、道の駅オアシスなんもくへ出荷。最近は現地での直接販売も始めた。とらのこぱんは祝日と金土日のみ販売し、平日には釜や厨房の掃除や材料の仕入れ、薪割りなどを行っている。

とらのこぱんを運営するのは、株式会社サンエイト企画。造林を専門とする林業の会社だが、その傍らパン製造と村内のキャンプ場運営を手掛けている。とらのこぱんは、2年前亡くなられた中沢虎雄さんが焼いていた「とらおのパン」の釜を継承する形で始めた。虎雄さんが亡くなる前に釜を村に寄付し、村が利用者を募ったところサンエイト企画に貸し出されることになった。とらおのパンのレシピはなく、冷凍保存されていたパンと昔食べた味の記憶を手掛かりに、かつて村内外から愛された「とらおのパン」を思い出せるようなパン作りを目指している。新たな名産となれば嬉しい。

一見複雑なように見えるパン作りだが、一度手順を覚えてしまうとルーティン作業になる。ただ酵母や釜、気温など様々な要素が複雑に絡み合い、一度として同じものを焼くことはできない。そこに面白さを見出し、研究熱心で気合がある人がメンバーに加わってくれたら嬉しい。メンバーが増えれば、もっと幅広く挑戦できる。サンエイト企画では、虎雄さんの思いを大切にしながら、村のことをこれからも考えてくれる人を募集している。未経験でも自分の中でやり方やこだわりを見つけ、自分のスタイルを作ってほしいそうだ。

「小さいころから村で生きていこうと思っていた」とKさん。一度は村外で働いたものの、村内で生活することを選んだ。

同じくRさんも、村外に出て色々な仕事を経験してきた。

「小さいころから、自分の親や周りの大人たちは、村の外に出て行って働くのが当たり前で、村に仕事がないと思い込んでいた。村で働けますよ、と言ってくれる大人がいなくて希望が持てなかった。どんどん高齢化が進む中で、人が少なくなっていく中で、村で働かないのは情けないなぁ…と思った。とらのこぱんを知って、介護や役場の仕事以外でも働ける場所があることがわかった」と訥々と語ってくれた。

発酵が進むから素早く、でも丁寧に成型をする

やっぱり生まれ育った村が好き。学生時代から食べていたとらおのパンを、今度は自分たちが再現する。美味しく焼くためのこだわりを詰め込んだとらのこぱん。大好きな村で自分たちが生きていくためにできること。

一緒に働く仲間を募集しています。現在パート・アルバイトだけでなく正社員も募集中(応相談)。向き不向きはやってみないとわからない。挑戦し続けるとらのこぱんメンバーは今日も火をくべ続けている。

※本記事は、南牧村のお仕事を紹介するものです。就職をご希望の方は個別に会社にお問い合わせください。なお、お問い合わせのタイミング等により採用募集を打ち切っていたり、条件等変更している可能性がございますが、ご了承願います。

お問い合わせはこちら→(株)サンエイト企画 | 群馬県コンベンション情報|イベント・展示会施設紹介 (gunma-convention.jp)

過去の記事はこちら→高齢化の村 人気パン復活 「とら」引き継いだ移住の若者 南牧の道の駅で金−日曜販売 村民や観光客訪れる:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)

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